June 21, 2007

ふるさと納税よりも

少し前の話になる。週末、梅田の阪急百貨店に生活雑貨を見にいくと、作務衣を来たおじさんが、一段高いところに座って何やら作業をしている。何気なく近付くと、輪島塗の塗師のおじさんだった(このおじさん)。

近くにいくつか作品が置かれている。こういうのは出会いであり、直感である。不思議と惹かれる碗があり、おじさんに話しかけた。「これ、おじさんが作ったん?」「ほや」。普通の石川のおっちゃんだ。なにやら嬉しくなった。

「その後(地震の後)、輪島はどお?少しは戻ったけ」「なーん、全然まだまだや」等々、大阪のど真ん中で、石川言葉の会話が弾む。決してお安くはなかったが、その碗を買った。義援金として送ろうと思ってとってあったお金で。

輪島塗

選挙前の人気取りで、短期間にいろんな政策が飛び交っている。「ふるさと納税」もその一つだ。税金の使い道は、為政者に再分配を任せるのが第一義だと思う一方で、少しくらい自分の意思を籠められるのも悪くはないとも思う。しかし、今の、煮込みがハッキリ足りない「ふるさと納税」という政策は、いかにも一人区を意識した選挙対策であるし、昔、竹下登が打ち出した「ふるさと創生1億円」とか、公明党がごり押しして導入した(ちなみに、これを -こんなのを- 土産に与党入りした)「地域振興券」を思い起こさせて、積極的に賛成する気には全然なれない。

木は漆でコーティング(?)すると呼吸ができるけれども、ペンキを塗ると死んでしまうと聞いたことがある。

ふるさとを応援したい気持ちを形にするのは、納税だけではないだろう。なまじ政治に依存してしまうと、田舎の活力にペンキを塗って一時しのぎをするようなことになってしまわないか。田舎の活力に漆を塗るようなことを、もっともっと考えないといけないのではないか。

おじさんが言っていた。「わしゃあ、輪島塗をぉ、もっと普通に使(つこ)てほしいがや」。そうだね。ふるさとに思いを馳せながら、大事に使わせてもらいます。


Posted by azure at 00:16:56 | from category: 社会 | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks
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Linette:

おすすめる作品一部だぜ、格安なdvdセット、買い得だゼ!
(May 15, 2013 09:30:26)
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