October 22, 2007

荒川豊蔵展

荒川豊蔵展を観に、岐阜県美術館に行ってきた。荒川豊蔵は、桃山の志野の欠片を拾い集めることで、その焼かれていた場所が瀬戸ではなく美濃だったことを突き止め、その再現に生涯を捧げた人物だ。

なーんて書くと、ちょっと詳しそうに見えるかもしれないが、なんてことはない、本の受け売りだ。ちょっと陶芸に興味を持ち始めたくらいの人に名匠と名品の陶芸史をお薦めしておく。荒川豊蔵の章では、北大路魯山人との交流等が簡潔に描かれていて、当時の苦悩や興奮が伝わってくる。

さて、その展示会。2時間ほどかけてじっくり観た。絶えていた桃山の志野を復活させようと、試行錯誤を繰り返していただろう光景をぼんやりと想像しながら観た。僕は土をこねたりしないから、ほんとうのところはよくわからない。ただその試行錯誤が、土を選ぶところから始まって、窯の設計、火の温度、焼く時間、釉薬等々、何日も何年もかけて失敗を繰り返したものだろうことはなんとなく想像ができる。眺めていて、とても幸せな気持ちになれる器が多かった。

January 11, 2007

2007年の福袋

もう正月も10日だというのに、福袋の話をしようとしている。年が明けてからというもの、人には会うわ、仕事は増やすわ(金にはならんが)で、書く暇がなかったのだからしょうがない。まあ、今年は、年頭から「大忙し」で突っ走るぞ!という覚悟なので、まずは幸先が良いということにしておこう。

幸先はともかく、福袋。行列を作って百貨店の初売りを待つほどではないけれども、正月のささやかな楽しみの一つが福袋だ。普段は得られないお買い得感がたまらない。もちろんまず予算ありきだから、手に5つも6つも下げて歩いている人の気が知れないが、まあ、程度問題。目くそ鼻くそ。嗚呼、我、小市民なり。

去年はエイヤっと奮発して、ウエッジウッドの3万円の福袋をかなり期待して購入してみたところ、いかにも「見切り品の詰め合わせ」な中身で大層がっかりした。そういう時は「ウエッジウッドなんかキライ」&「福袋なんかもう買うもんか」と思う。でも、喉元過ぎればなんとやら。今年もいそいそと、初売りの街へ繰り出した。

去年の失敗に懲りて、今年は慎重な上にも慎重に直感を働かせてうろついた。一応の下調べはするのだが、やっぱり人間は直感でしょう、などとウソブいていると、見慣れない美濃焼のディスプレイが目に入った。誘われるままに店内に入る。こじんまりした狭い店だ。聞けば、暮れにオープンしたらしい。そら知らんわ。

オープンしたての張り切りが直結したような1万円の福袋が置いてある。中身は8万円相当だとか。うーむ、気になる。でも、去年の失敗もあるし。。。というわけで、お店のお姉ちゃんにお願いをして、ちらっとだけ中身を見せてもらう。まず出てきたのが、青志野の花小鉢5点セット。なかなか良いやないの。これだけで1万円の元は取れるなあ、などと浅ましく考えて、即決。即購入。帰宅してワクワクしながら袋を開けると、使い勝手が良さそうでモダンな感じの織部の丸皿など、なかなかの当たりで大満足だった。

今年の福袋

皿の類は、えてして置き場所に困るものだが、なんとか詰め詰めして(整理してくれたのは連れ合いです - すんません)、正月から、新しい食器で飯を食っている。食事の美味さも倍増だ。いや、もちろん、今までも美味しうございましたです。ごめんなさい(また謝っている)。外食の機会が減ることを思えば、1万円も浮くってものだ。
もともと、あまり外食しないけど。

焼き物は、旅先の窯元に行くのが一応の主義なのだが、ああいう店もよいものだ。物凄い展示品(茶碗)もあったし。とても手が出せるような代物ではないけれども、やっぱり現物を生で見れるのが一番だ。


September 03, 2006

やきものを愛でる

そごう心斎橋本店に行った。目的は「桃山の名碗と加藤唐九郎 樂吉左衛門展」。加藤唐九郎という名前は知っていたけれども、作品を生で見たことはなく、なんとなく見てみたくなった。

ちなみに、あらためて言うのも恥ずかしいくらい、私はやきものについてはド素人。自分で作るでもなく、一般教養もない。茶道などやってるわけがない。時々温泉地への道中、たまたま在った窯元に立ち寄ったりして眺めるのが好きという、ただそれだけの「やきもの好き」だ。

さて、その展示会。驚いた。ある程度の期待はしていたものの、そこにあったやきものたちは想像を遥かに超えていた。言葉が出ない。凄い。
いつの時代のものかわからない唐物茶碗、高麗茶碗、桃山の茶碗、そして加藤の茶碗。本当に凄かった。やきものを見て涙が出てきたのは初めてだ。出るのが惜しくて、3回、4回と、もう何度も何度も往復して見続けた。

やきものの良さを言葉で表現するのはとても難しい。それは「存在感」としか言いようがない。不思議な圧力。それぞれに個性的な気品。これは写真では伝わらない。絶対に生で見るべきだ。

入場料500円。期間は9/11(月)まで。やきものが好きな人は足を運んで損はないと断言してしまおう。