August 31, 2006

ハービーの直筆サイン

眺めたり、手に取ってみるだけで幸せな気分になれるモノってある。私にはそういうモノが割にたくさんあるように思う。

楽器屋で生ギターを眺める、たまに弾かしてもらう。
文房具屋で万年筆を眺める、たまに試し書きをさせてもらう。
時計屋で機械式の腕時計を眺める、たまにはめさせてもらう。
窯元に行って、そこのおやじと話をしながら焼き物を手に取って眺める。
家具屋に行って、いろんな椅子に腰掛けてみる。等々。

他にも、絵とか、モノではないけれども鳥とか草花とか。眺めているだけで楽しかったり、なんとなく笑顔になれる。

モノの価値ってのは、結局のところ相対的なもので、基本は物々交換だな。
ゾロ目の一万円札に、私は一万円の価値しか見出せないけれども、一万円以上払ってでも手に入れたい人が世の中にはいる。ハービー・ハンコックの直筆サインは、私にとっては宝物だが、「ハービーはん?誰それ?」という人にとっては、ただの外人の落書に過ぎないだろう。

左様に、価値とは、ある人が「これいいなあっ」と思えるということだ。それは別に脇から口を挟む必要はないはずのものなのだが、困るのは、自分が「気持ち悪い」と思うものを「気持ちいい」と思っている人と出くわしてしまった時だ。音楽についてたまにそういう場面に出くわすが、この手の感性の違いは、ケンカにはなってもまず議論にはならない。



August 23, 2006

甲子園

夏の甲子園が終わった。
今年は「88回大会」だったそうだ。ゾロ目だ。僕の夏は「66回大会」のゾロ目だった。22年か。ん?22年?。。。そんなになるか。
ちなみに、うちの兄貴の夏は「55回大会」。江川と同世代になる。
次のゾロ目大会は「99回」か。百引く一の白寿だ。なんかすごいな。念のために言っておくと、僕も兄貴も最高は県大会ベスト8。甲子園は遠かった。

高校野球はトーナメントだから、組合せの関係で2回戦から始まるチームもあるけれども、原理的に半分の学校は地方大会の一回戦で負けている。一回戦で負けた中には、参加することに意義があるチームもあるだろうが、大半は「まさか一回戦で負けるつもりなどさらさらない、あわよくば甲子園へ」と思っていた高校球児たちだろう。僕もその口だ。

今はプログラムを書く仕事をしているが、野球のおかげで2進数には親しみがある。2、4、8、16、、、
2から順に決勝、準決勝、準々決勝、ベスト16、、、
半分ずつ減っていくから、野球の大会は2進数なんだな。草野球の大会には「参加チーム数は256」と限定しているのもある。256は2の8乗。つまり「8回勝てば優勝」ってことだ。

一回戦で負けた後、僕はとにかく空虚だった。高三の夏休みなんて、何をして過ごしていたんだろう。ほとんど記憶が無い。今振り返ると、最後の夏が終わった後、結局1年半ほどはボーっとしていた気がする。

今、巷には、人生の大目標を失って、表面的に、はしゃいではいても、実はボーっとしている元高校球児がうようよいるはずだ。夏はそれでいいんだと思う。


August 21, 2006

サーカス

念願のボリショイサーカスを観た。あっという間の楽しい2時間だった。
僕はサーカスが好きで、住んでいる町にサーカスがやって来ると、年休を取って一人で観に行っていた。よく観たのは木下大サーカス。随分前にはキグレも行ったし、この春には初めてポップサーカスというのを観た。

それで、今回のボリショイ。ずっと「一度は行きたいなあ」と思い続けていた。かなりホンモノ感が違う。観ている気持ちが全然萎えない。身体を張った素晴らしい芸が続く。飽きない。

危険とスレスレのリアルなスリリングさに興奮した。
本物のプロフェッショナリズムを目の当たりにすることは刺激的だ。