October 22, 2007

荒川豊蔵展

荒川豊蔵展を観に、岐阜県美術館に行ってきた。荒川豊蔵は、桃山の志野の欠片を拾い集めることで、その焼かれていた場所が瀬戸ではなく美濃だったことを突き止め、その再現に生涯を捧げた人物だ。

なーんて書くと、ちょっと詳しそうに見えるかもしれないが、なんてことはない、本の受け売りだ。ちょっと陶芸に興味を持ち始めたくらいの人に名匠と名品の陶芸史をお薦めしておく。荒川豊蔵の章では、北大路魯山人との交流等が簡潔に描かれていて、当時の苦悩や興奮が伝わってくる。

さて、その展示会。2時間ほどかけてじっくり観た。絶えていた桃山の志野を復活させようと、試行錯誤を繰り返していただろう光景をぼんやりと想像しながら観た。僕は土をこねたりしないから、ほんとうのところはよくわからない。ただその試行錯誤が、土を選ぶところから始まって、窯の設計、火の温度、焼く時間、釉薬等々、何日も何年もかけて失敗を繰り返したものだろうことはなんとなく想像ができる。眺めていて、とても幸せな気持ちになれる器が多かった。